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有松絞り研修旅行~きぬたやさん~

有松絞り〜きぬたやさん

研修旅行

2017.10.29~10.30

東京和装専門学院、講師研修旅行のレポートをお届けします。
今年は台風直撃の中、絞りの町、名古屋の有松へ。

【有松の町について】
絞りの町、有松は1608年絞り開祖、竹田庄九郎らによって誕生しました。
有松絞り400年の歴史は尾張藩が有松絞りを藩の特産品として保護し、竹田庄九郎を御用商人に取り立てた事から始まりました。
旅人が故郷への土産にと、競って絞りの手拭、浴衣を買い求め、これが街道一の名産品となり、その繁盛ぶりは葛飾北斎や安藤広重の浮世絵に画かれました。

この昔の繁栄と日本建築の美しさを今に伝える家並みは名古屋市の街並み保存指定1号として、また全国街並み保存連盟の発祥地としても知られています。

絞りの技法は100種にもおよび有松・鳴海絞りは日本の絞り生産地のうち約90%以上を占めています。400年の創意と工夫が国内はもとより、世界でも最高の技術を現代まで受け継がれたゆえんであります。

【絞りの特徴】
絞りはすべて手仕事です。1粒1粒を丹念に括りあげます。同じ柄を作っても絞る人の力加減と染色の微妙な差が生まれます。また、絞りは立体的な模様を画きます。その生地は肌に密着せず独特の風合いがあります。

【絞りの工程】
絞りの製品は図案から型彫り、絵刷り、絞り加工、染色、糸抜き、仕上げまですべて専門職の手を経て分業で行われます。工程についてはきぬたやさんのお話を交えながら説明していきます。

★図案の決定・・・・きぬたやさんでは古来のデザインを大切にしながら、現代的なデザインも追求されています。

★型彫り・・・図案に合わせて型紙を彫る。これは型染めに使う柿渋の紙ですね。

★絵刷り・・・・生地に青花で絵を彫る。

★絞り加工・・・分業された括り職人が絞りを加工する。

★染色・・・・専業の染め屋によって各種の染色が行われる。
絞りと絞りの間の絞らない部分を地落ちといい地落ちを作る事は非常に難しく、絞りと絞り、地落ちの間には糊で境界線を作らず、職人の感覚で色分けしていく。きぬたやさんは日本の美と海外の色彩の交差を意識して、自由な色を取り入れています。

★糸抜き・・・括った糸を解く

★仕上げ・・・手湯のしして製品に仕上げる。絞りによって反物幅が通常よりかなり縮むため、職人二人で反物を引っ張りながら手湯のしを行います。

 

【主な絞り技法の種類】

代表的な絞り技法を紹介します。

・縫絞り・・・縫杢目、唐松縫、つまみ縫、合わせ縫、日の出、ひしゃき縫、白影縫、ミシン縫、等

・巻上絞り・・・小帽子、蛇の目巻上、つまみ巻上、根巻、芯入れ帽子、等

・鹿の子絞り・・横引、京極、本疋田、突出し、人目、等

・桶絞り

・三浦絞 ・・・平三浦、石垣三浦、やたら三浦、疋田三浦等

・蜘蛛絞り・・・手ぐも、手ぐも根巻、蛇の目、やたらぐも、手廻しぐも、等

・板締め絞り・・豆絞り、雪花、等

・筋絞り・・・手筋、くも入り柳、鎧段、山道、山周筋、みどり、等
・嵐絞り・・・網、チリ、杢目、等
・その他・・・むら雲、箱染め、追東風染、大典、等

【きぬたやさんの拘り】
絞りの技法で代表的な疋田絞りは一般的に「45たて」といい、反物1尺に45粒の絞りが施されますが、きぬたやさんでは縮率を考慮し、1尺5分の巾に47粒を絞ることができて初めて「45だて」と呼ぶそうです。より緻密で高度な技術を目指してこの2粒に拘る。まさに2粒の美を追求されています!

そしてもう一つのきぬたやさんの拘り、通常の疋田絞りは6回巻いて2回括るという8回巻きですが、藤娘(きぬたやさんの商品名)の疋田は10回巻いて2回括って12回巻くのでより色彩が鮮明になります。

 

【荒川叶江さん】

最後に有松・鳴海会館で絞り実演をされていた荒川叶江さんをご紹介!

おん歳88歳の荒川さん、小学校2年生から始めた縫い絞り一筋の職人さんです。


その指は糸で擦れて指紋がなくなるほど!指ぬきは1円玉を布で包んだ手作り、「これがちょうどいいのよ」そして、「絞りはね、死ぬまで勉強よ」とお話されます。
絞りの括り職人育成にも努めておられます。日本の伝統文化を伝えていってくださいね。

 

東京和装専門学院 スタッフブログ  2017年11月2日 掲載

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